古絵葉書 国勢調査 その拾(後編)
後編です。
大正14年簡易調査が行われたことを示す絵葉書は、2013年10月1日付記事で紹介済みです。
しかし、今回じっくりこの絵葉書を眺めておりますと、やたら情報量の多い一枚であることに気が付きました。
舞妓さんの背景に国勢調査のポスターが貼られています。「大正十四年国勢調査」と書かれていますので簡易調査の実施を示す一枚です。
舞妓さんなので撮影場所は京都だな。 ...と思ったのでした。舞妓さんの進行方向にはなにやら風流な書画が飾られています。うん、これは京都っぽい。
しかしですね、このポスター拡大しますと「大阪府」と書いてあるんです。 ん? 舞妓さんだから京都...
さらに舞妓さんの左、戸口のあたりを拡大すると「電話 新町二二三二」とか書いてある。京都には新町通りってあるよなあ。歴史スポット巡りと山鉾巡行... 京都っぽい土地だから舞妓さんに似合うよなあ。
でもね...
絵葉書の絵柄、右端あたりを拡大しますと「河辺青蘭女史」と、おそらく絵の作者を紹介する木札がかかってる。調べてみますと河辺青蘭という人はこの時代の女性日本画家で、多くの門弟を輩出した有名な方のようです(すみません、絵の分野はさっぱりです)。そして大阪南堀江の方だということもわかりました。
南堀江っていうと大阪の新町遊郭の近く... 舞妓をググってみるとwiki先生には、京都以外の舞妓として「大阪市には太平洋戦争前には舞妓が居た。京都とは異なり、帯結びが腰元の様な立て矢であるのが特徴(「やぎっちゃ」という結び方)。また髪型も京風の引き鬢ではなく、江戸風の出し鬢であった」と書かれているではないですか。でも絵葉書の舞妓さんの装束が大阪のものかどうかはよくわからない。見る人が見ればわかるんでしょうけれど。
さらに電話番号も大阪における当時の電話番号帳が残っているところから根気よく探せば見つかるかもしれない。
...やらないだけで。
余談ですが、拡大すると仁丹の看板が見えます。そしておそらく「仁丹の体温計」と書かれた看板には「舶来品に優る国産品」と書かれているような。
森下南陽堂は大阪の道修町ですが、後、赤線検温器株式会社に出資し仁丹体温計の販売を行っています。その赤線検温器株式会社が後のテルモになるらしい。
これら一連の流れがこの壁の看板から学べるのです。うん、広く浅くはきりがないな。
きりがないついでに、国勢調査のポスター横に「失業統計調査」と貼り紙が出ています。国勢調査に合わせて行われた調査で第一次大戦後の不景気による失業者の世界的な増加が背景にあるようです。
そういえば仁丹の体温計も第一次大戦により体温計の輸入ができなくなったことから、製造されるようになったそうです。
閑話休題
おそらく本気で調べると推測ではなく結論まで導くことができるだろうと思うこの絵葉書の背景ですが、でもしんどいから中途半端にしておきます。そのうちなんとなく答えが出てくると思うのです。「おとらのしっぽ」はこのパターンなので。
以上、とてもとても中途半端な後編でした。
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