古絵葉書 キタの大火 その拾弐
直近の寸葉会で「北の大火」の良い一枚を入手することができました。
土佐堀川を挟んだ中之島の南対岸、北浜から撮影したものです。使用済み(エンタイアと言います)の表面には1銭5厘の切手の上に「大阪 42.8.4」の消印があります。
大火直後に使用されたもので、静岡県内の宛先へ写真の解説と大火の状況を伝えているという個人的には「大変に美味しい」逸品です。
内容はと言うと(頑張って読める範囲ですが)、絵柄に印を付けた建物、「※北警察署」は灰になってしまい、「×控訴院」も外側の煉瓦を残して焼けてしまったことを伝えています。なお、「△」は大阪ホテルだとも伝えています。
この位置から撮影した大火の状況は初めてで、中之島中央に写る豊国神社の佇まいがよく把握できました。また中之島北岸に大勢の人々が群がり堂島川を挟んだ対岸(控訴院等)を見ているさまも見て取れます(北警察署の写っているあたり)。場面の時間帯としては7/31の午後5時から6時あたりだと思われますが、夏なのでまだ明るくよく写っています。
とても嬉しい一枚です。
さて、この付近の当時の地図を参考に挙げてみたいと思います。地図は日文研さんのデータベースから引用させていただきました。いつもありがとうございます。

左が1900(明治33)年の地図で、右が1923(大正12)年の地図です。本題から外れますが、23年間でずいぶんと様変わりしていることがわかります。
豊国神社を中心に見てみますと、西隣にあった中之島公園内に大阪府立図書館が建ち(1904(明治37)年)、次いで豊国神社のあった場所に中央公会堂が建ち(1918(大正7)年)、豊国神社はそれに先立ち大阪府立図書館の東隣に遷座し(1912(大正元)年)、1921(大正10)年には遷座後の豊国神社東隣に大阪市庁舎が建ちました。また、堂島川対岸の控訴院は1916(大正5)年に3代目庁舎として再建されています。また、北警察署もいつの間にやら天満警察署として復活しています(このくだりはざっくり調べましたがよくわかりませんでした)。そうそう、控訴院東の蜆川(曽根崎川)もなくなっています(1912(明治45)年 ※上流側)。公会堂の前に架かっている栴檀木橋(せんだんのきばし)は1914(大正3)年に再架橋されたもので、1885(明治18)年の洪水で流されていたそうです。
この時期を含む昭和初期に至るまでの大阪市内の変化は本当に目まぐるしいものです。
さて余談です。
古絵葉書のマニア(入口あたりの素人に毛の生えたようなものですが)ではありますが、葉書(郵便)全般に対してのマニアではなくその方面の知識はないのですが、それでも門前の小僧よろしく多少の知識が入ってきますと、いろいろ興味が出てきて調べてしまいます。そうすると一言記しておきたくなるのが私の良くない「知ったかぶり」癖で、つまりは消印(日付印)についてです。(もちろん資料からの引用であり、「そら」で覚えているわけではありません)
今回の絵葉書ですが、切手の上に押してあるものは櫛型印(上段と下段に櫛型の模様が付いている)と呼ばれる形で1906(明治39)年から主だった局で使われるようになったそうです。それに対して、宛先付近に受領した局(という表現で良いのかな)の消印(日付印)が押されています。丸一印という形式で全国の郵便局において1909(明治42)年12月末まで使用されていたものだそうです。「駿河興津局」のもので8/5の8便で受け取ったようですが、主要幹線沿いならば思いのほか早く届くのですね、少し意外でした。
このような消印の形からも絵葉書の年代推定には役立つという事を言いたいわけで(日付が潰れているものが結構多いのです)、「知ったかぶり」をしたいだけではないのです(たぶん)。
それにしても「嬉しい」一枚でした。
※「北の大火を調べる-おとらのしっぽ-」もご覧ください。
(参考)
Wikipedia(豊国神社、大阪市中央公会堂、栴檀木橋)
「郵政博物館の日付印類」近辻喜一著 郵政博物館HP(ホーム>刊行物>研究紀要>郵政博物館研究紀要第11号
「日本切手百科事典」日本郵趣協会(1974年)刊
地図類 国際日本文化研究センターHP
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