古絵葉書 第拾五回赤十字国際会議記念
はたして絵葉書なのだろうかと一抹の不安を持ちながら、それでも左の大きな記念スタンプは印刷なので、絵葉書のジャンルに入れても問題はないだろうと思います。
表面(宛名面)も載せておきます。
私製葉書です。おそらくですが日本赤十字により作製されたのではないかと思うのですが定かではありません。
さて、第十五回赤十字国際会議についてですが、なかなかにエポックメイキング(と言って良いと思うのですが)なイベントだったようです。
開催されたのは昭和9(1934)年10月、(当時の)芝区芝公園五号地の日本赤十字本社内を会議場にしたようです。アジアで初めての赤十字国際会議であり、会議には54カ国、45政府代表を含む319人が参加したそうです。
アジアで初めてというのがミソで、1867年から開催されてきた赤十字運動の最高議決機関である赤十字国際会議は、ワシントンで1回開かれたものを除けば、それまですべて欧州諸国を会場に開かれていたのです。
開催の背景には大正12(1923)年の関東大震災からの復興がありました。震災後、日本は世界の多くの国々から多大な援助を受け復興を成し遂げたのでした。そのお礼と復興の報告を兼ねての東京開催だったのです。
国立公文書館デジタルアーカイブには、当時の日赤社長であった、徳川家達侯爵から総理大臣にあてた「第十五回赤十字国際会議補助金ニ関スル件」という書類が公開されており、そこで「...代表者を派遣する各国及び各赤十字社は、大正十二年関東大震災に際し深厚なる同情をもって精神的並びに物質的援助を与えられたのであるから、その代表者に親しく復興の実情を見てもらい国民感謝の意を表することは何人も望むところであるとともに本社の義務であると考える」と述べられています。
確かに震災からの復興を報告するという目的があったのです。そしてそれが大義名分であったからこそ欧米諸国も日本での開催を承認したものと思われます。
さて、絵葉書本体に目を向けてみたいと思います。
スタンプ(消印)は国際会議記念のものです。東京市内の郵便局では一定期間、局にかかわらずすべて「東京」という印影で用いられました。右方に押された実物の方は「会議場内」に特設された郵便局で押されたもので、この場でのみ、文字(局名)が違っておりました。
昭和9年10月3日付の官報にその点が記載されています。
ついでに切手についても昭和9年9月11日付官報に掲載されていますのでご紹介しておきます。
もうひとつ気になったことがあります。裏面(宛名面)の切手を貼る部分の意匠です。
先ほどこの絵葉書は日本赤十字社による私製葉書かもしれないと述べた理由のひとつにもなるのですが、震災からの復興報告がテーマの一つであるというのは赤十字社が主導するテーマです。
意匠の部分を拡大してみます。
見ずらいのですが、最下段に描かれている両国橋は、震災では大きな影響はなかったようですが、他の橋梁に併せて架け替えられた復興橋梁のひとつです。最上段の丸っこい建物は両国国技館と思われますが、震災で全焼したものが再建されています。さらに中央の建物ですが、千代田尋常小学校ではないかと思います。復興小学校として再建された建物で、鉄筋コンクリート3階建て、水洗トイレ完備であり、また隣接して復興小公園が併設された施設でした。少し調べただけでしたが設計思想は素晴らしいものでした。
ただ、右に描かれた記念塔(文字が潰れていてなんとしても読めませんでした)と意匠全体を半円に囲む輪っかのようなものについては、どうしてもわかりませんでした。
しかし、これらも復興にかかわる図案であろうことは想像に難くありません。
国際会議の開催理念のひとつが、このように意匠の中に凝縮されていることから、日本赤十字社による製作ではないかと考える理由です。
今回は(いつもですが)いろいろと資料を参考にさせていただきました。
先に述べた国立公文書館デジタルアーカイブは本当に秀逸なツールです。また、官報は国立国会図書館のデジタルコレクションから引用させていただきました。
その他、参考にさせていただいた資料は以下のとおりです。ありがとうございました。(参考資料に比べて中身の薄さはいつものことか... すみません。)
(参考資料)
内閣府ホームページ
(内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 防災情報のページ > 広報・啓発活動 > 災害史・事例集 > 災害教訓の継承に関する専門調査会 > 報告書(1923 関東大震災第3編)> 第1章 帝都復興の展開)
内地各府県優良学校教育状況 十勝教育会編(昭和10年) 国立国会図書館デジタルコレクションより
中央区立図書館ホームページ
(トップページ > 地域資料室 > Webギャラリー 一覧 > 復興小学校案内-日本橋区編 > 資料詳細(東京市千代田小學校)
知っていましたか? 近代日本のこんな歴史
(Home > 帝都再建 ~関東大震災からの復興~ )
Wikipedia -両国国技館-
Wikipedia -日本赤十字社-
Wikipedia -芝公園-
Wikipedia -両国橋-
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