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2019年8月14日 (水)

独り言 祖父について

 8月のこの時期なのでなんとなく祖父の事を書きたくなりました。絵葉書を残してくれた母方の祖父と、それほど交流があったとは言えないですが、妻の祖父(つまり義祖父)についてです。

 祖父は私の生まれる前に亡くなっていますので会ったことはありません。体の弱い人であったようです。
 徴兵はされたものの虚弱だったかですぐに帰されたようです。真新しい奉公袋と軍隊手帳が残って(どこかに仕舞い込んで出てこない...)いますので徴兵検査には合格したのだと思います。しかし応召後すぐに帰され、裏口からこっそりと帰宅したと伯母たちから聞いたことがあります。

 叔父や叔母、伯母たちは否定するかもしれませんが、応召に応えることができなかった、ということが祖父にとっての生涯のコンプレックスだったのではないかと思います。
 戦後、祖父は家業の縫製業よりも神道系の宗教に没入します。滝に打たれるなどの修行を繰り返していたと母からも聞いていますが、信貴山にある小さな神社に雇われ神主としておさまったりしていたようです。その神社の名前はよくわかりません。叔母は数年前に行ってきたと言っていましたが、今は韓国人に買われ朝鮮系の神様が祀られているそうです。経緯はわかりませんがよくあることのようです。
 母から聞いた祖父にまつわる話としては、庭で護摩焚きの際、祖父の裂帛の気合と共に炎が吹き上がったといいます。
 また、散歩中に突然見知らぬ家から人が飛び出してきて、病気の家人に祈ってくれと言われ祈ったら病気が治ったというような、本当か嘘かわからない話もありました。なんでも家の人が病人のために祈っていると「今、家の前を歩いている者に縋るよう」お告げがあったそうです。
 うーん、本当かよ爺ちゃん。

 本当か嘘かは別として祖父を慕う人は増えていき、やがて、ちょっとした集団が出来上がりました。弟子たちからは教団にしようという話もあったそうですが、それは断ったようです。
 ...教団にしておけば、もしかすると母が二代目になり私が三代目になっていたかもしれません。今頃左団扇で暮らしていたかもしれないじゃないか。惜しいことをしたぜ。
 しかし宗教については勉強熱心であり、神道に限らず仏教、キリスト教についても調べ、独自の宗教観を構築していたようです。しかしおそらくは体系的な教義を打ち立てることまではできなかったものと思われます。
 祖母の遺品のなかに祖父の遺品も含まれており、祖父の書いた手帳もありました。たまたま見つけたので読んでみましたが、たしかに様々な宗教観がごっちゃになっており、なかにはナポレオン・ヒルの考え方(思考は実現するなど)そのものまで含まれていました。昭和20~30年代にここまで勉強していたなら、そりゃあカリスマにもなろうというものだと変に納得したものでした。(手帳の中身は実際いろんな教義の寄せ集めで斬新な思想もなく(当時の私から見ても)あまり学ぶべきものはありませんでした。片付けの過程でいつも間にやら叔母たちに捨てられてしまったようです)

 昭和三十年代、地元の人々を組織し皇居へ清掃の奉仕へ行ったりしていたようです。吹上御所前で昭和天皇・香淳皇后からお言葉をいただいている集合写真が二枚残っています。ずいぶんと誇らしいことであったようです。


 義祖父について。
 とても温厚で良い方でした。何年も前に亡くなったのですが、私のような者にも気さくに昔話を語ってくださいました。

 九州出身で、戦前戦中は満州で満鉄の職員として働いておられたようです。話を聞く限り下働きのようでしたがそれでも給料がすごく良かったと言っておられました。
 冬の早朝、トラックのエンジンをかけるために...なんと言っておられたか、がちがちに凍り付いているものを融かすことから毎日が始まった、とか、休暇がとれたなら満鉄乗り放題で大陸を観光した、というような話を懐かしそうに話してくださいました。(遺品の中に満州の名所を網羅した写真集が残っています)
 そこそこ持っていた貯金は、どうやら終戦間際の満州脱出の際になくなってしまったようです。満鉄職員ということで情報を得やすく、まずいと思った時に家族もろともすばやく脱出したようです。(これについては賛否あるかと思いますが、私自身、家族を守るためなら手段を選ばず逃げることでしょう。責める気にはなりません)
 命からがら日本へたどり着き、その過程で貯金はそのほとんどを使ってしまったようです。

 満鉄時代の話はもっと聞きたいと思い、今度は録音させていただこうと思っていた矢先、脳溢血で倒れられ亡くなりました。
 悲しい出来事でした。


 8月のこの時期、いろいろな意味で二人の祖父が偲ばれます。

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