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2019年1月 6日 (日)

愛犬さくらのこと

 ゴールデンレトリバーのさくらは2005年5月27日に愛知県で生まれた(らしい)のですが、出会ったのはその数か月後、京都市にあるイオンモール久御山のペットショップでした。

 当時、犬を飼う気はまったくありませんでした。だって命を預かるのは大変じゃないですか。それでも夫婦ともども生き物は好きなので、何の気なしに立ち寄ったペットショップの生体販売コーナーでしたが、背中を丸めて後ろを向いた彼女になんとなく魅かれながらも「愛想がない、もっと媚を売らないと買ってもらえないぞ」などと話しかけたりしていたのです。
 で、すかさず店員さんが抱いてみろと。 →嫁さんが抱く →連れて帰りたい。

 まあ、白状します。衝動買いです。生き物相手に絶対にやってはいけない行為です。(そもそも生体販売そのものも、なかなかどうして複雑な思いはありますし、当時もありました。でも観に行っちゃうんですよねえ)

 それでもわたし個人は実家で犬や猫を飼っていた経験がありましたし、もちろん看取りもしていました。なので、「なんとかなるだろ」と思ったりもしたのでした。(こらこら・・・)

 数日後、正式に引き取り 「さくら」 と名付けられた彼女はペットショップでの愛想のなさとは雲泥の差で、みるみるうちに愛嬌たっぷりの仔犬に変身していったのでした。

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 いたずら者で、植えて間もない植木をいくつダメにされたことか。

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 やがて徐々に仔犬から「わんこ」に育っていったさくらは、おなかが弱いくせに食い意地がはっており、かつわがままなお嬢でした。甘えん坊で、臆病で、たぶん散歩中にクマに襲われてもわたしを置いてきぼりにして真っ先に逃げ出したことでしょう。

 そういえばこんなことがありました。早朝の散歩の出発が少し遅くなり、わたしは自転車に乗りました。片手にハンドル、片手にさくらのリード... 恐ろしいことをしています。良い子は絶対にまねをしないでね、というやつです。
 案の定ばちが当たり、もうすぐ家というところでわたしは派手に転びました。リードはとっさに放しさくらが巻き込まれないようにはしましたが、それでも痛みですぐには動けませんでした。
 さくらは心配そうにわたしの様子を... 
 ...などということはなく、さっさと自宅に帰り玄関前でくつろいでいやがるのです。嫁さんを呼ぶでもなく。

 そうそう、連れだって歩くときは必ず先頭を得意気に歩きました。群れを引っ張っている気分なのでしょうか。わたしの立場はいったい...
 

 嫁さんはさくらを溺愛し、ペットフードについてはいろいろと調べ、食べさせるのはいわゆる「プレミアムフード」であり、しかし少しでもおなかを壊すとそのブランドはもう買わないなどと、かなり力が入っておりました。後年、その傾向はますます強くなり、店先では見たことも聞いたこともないブランドのフードを通販で購入するようになっていきました。わたしでも旅先でしか食べない「馬肉」を、さくらは日常で食べていたのです。

 それもこれも「長生きしてほしい」との一念からのものでした。

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 やがてさくらも大人になり顔にも白い毛が生えてきました。多少の落ち着きもみられるようになり、甘噛みもなくなりました。いちばん「楽」な時期でした。
  
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 車に乗るのが大好きでした。
 自分から車の方へ引っ張っていき、乗ろうと促します。スライドドアを開けてやるとさっさと飛び乗り「さあ、どこ行くの」とばかりに前を覗き込みます。うむ、シートベルトが必要だよなあ。今から思えば。

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 よく遊びに行きましたね。丹後半島や淡路島、そのほか目的地のない家族三人の気ままなドライブ...

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 ある日歩き方が少しおかしいことに気が付きました。よたよたします。車にも簡単に飛び乗れなくなりました。

 ああ、歳なんだなあ。考えれば13歳かあ。人間なら80歳越えてるよなあ。

 そう考えていました。
 定期的に動物病院で検査を受けており、大きな問題はなくこれまで過ごしてきましたがやはり寄る年波には勝てないか、と。

 しかし、歩容が明らかにおかしくなってきました。また転びやすくなりました。片方の前足がうまく使えないことがあるのです。

 主治医の先生に診てもらいましたところ、頭か首かいずれにしても神経系に異常があると思われるとのことで、京都市の久御山に専門の動物病院があると紹介していただきました。

 全身麻酔によるMRI検査により頚髄に腫瘍が見つかりました。

 手術しますか? 絶対に治る保証はありませんが理解していますか? → YES
 頚髄です。術後に歩行が困難になります。根気強いリハビリが必要になりますが良いですか? → YES

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 車に乗せるといつもと変わらずご機嫌な笑顔を振りまいていましたが...

 2018年10月に手術を受け、幸いに無事、さくらは還ってきました。2週間近くの入院後、退院したさくらは、やっぱり歩けませんでした。

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 30Kg近いさくらを抱きかかえるのは必然的にわたしの仕事です。
 腰に腰痛バンドを巻きながら頑張りましたよ。えらいぞわたし。

 外の景色は見ることはできなくともドライブに連れて行ったり、庭に寝かしてあげたりと、いろいろ工夫をしました。もちろんリハビリにもよく通いました。

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 まあ、リハビリはやる気がイマイチな時がありましたが ^^;

 すべては順調でした。春ごろには歩ける見通しがありました。Gウィークは10連休だから丹後半島へ遊びに行こうと、さくらと話していたのです。

 12月中旬ごろから急速に元気がなくなってきました。普段の主治医の先生に診てもらった後、連絡を取ってもらい久御山の先生にも診ていただきました。12月30日でした。首に痛みが強く出ているようだという診立てで処置をしてもらい、1月1日にまた診ましょうと言ってくださいました。
 元旦、久御山へ連れていき処置をしてもらいましたが、帰宅直前に呼吸困難に陥ったさくらはチアノーゼ症状を起こしました。すぐに先生に処置をしてもらい落ち着いた後、入院という選択肢もあったのですが家に連れて帰ることを選びました。

 正月二日。朝ご飯を食べているわたしをさくらは目で追いかけていました。「おとうちゃんだけ美味しそうなものを食べている」 たぶんそう思っていたと思います。表情も良く呼吸も安定しています。わたしも妻も楽観しておりました。

 昼少し前、体位を変えてやろうと二人でさくらを動かしました。

 

 突然の呼吸困難が起こり、必死で前日に先生に教わった処置を行いました。

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 ないよりましだろうと、わたしのCPAP(睡眠時無呼吸症候群の治療のための在宅持続陽圧呼吸療法装置)を使い空気を送り込んだりしました。

 一旦小康状態を保ち、夫婦でほっとしながらそれでも見守っていましたが、15時半ごろ再び呼吸困難に陥ったさくらは、そのまま逝ってしまいました。還ってきませんでした。時計を見たら15時56分のことでした。

 

 正月四日、職場に事情を話し休みをもらい、さくらを火葬しました。15時頃でした。
 最後にさくらを抱きかかえたのは車から火葬炉の前まででした。やっぱり重かったです。

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 煙になることもなく、陽炎になってさくらは冬晴れの空に逝きました。

 

 我が家は共働きです。さくらと三人家族でしたので、どうしても平日はさくらが一人(匹?頭?)でお留守番です。さくらだけ置いて行かれてずいぶんと寂しい思いをしたことでしょう。

 今度はわたしたち夫婦が置いて行かれてどうしようもない寂しさに押しつぶされそうです。
 
 基本的に外飼いでした。小屋は裏にありますが、わたしたちが在宅中は敷地内で放しておりましたので、玄関を出て裏に向かって「さくら!」と呼べば家を回り込んで走ってきます。砂利を踏む足音が聞こえ角から姿が見え、気のせいではなかったと確信してから大急ぎで走ってきます。お出かけのパターンです。
 でももう呼んでも足音は聞こえません。
 
 車で帰ってきたときには、お留守番のさくらはなんとなく車の音が聞き分けられるのでしょう、うろうろするからか、小屋周辺のセンサーライトがいつも点いていました。車から降りて「ただいま」と声を掛けますが、背中を丸めて後ろを向いて、そう、初めて出会った時の姿で拗ねていることをアピールします。
 でもセンサーライトはもう点いていません。暗いままです。「ただいま」と声を掛けてもなんにもいません。
 
 
 手術後にさくらが歩けなくなった頃、よく夢を見ました。
 ひょいとさくらが立ち上がり歩く夢です。
 「吉夢だ」と夫婦で話し合っていました。春になったら一緒に遊びに行けると。

 たぶんひょいと立ち上がり逝ってしまったのでしょう。
 
 
 よく頑張ったね。
 おとうさんも、おかあさんも、本当に感謝しています。ありがとう。

P.S.
 おとうさんは情けないからこんなところで吐き出しておかないと、明日から仕事を頑張れないのだよ。
 久御山で出会って、久御山の病院で最後の診察をして。偶然だけれど不思議だね。

 おかあさんが頑張ってごはんに気を遣ったからか、最後まで内蔵系は元気だったね。昨日ごはんを食べようとして(炊いていなかったから)押し入れのパックご飯を出そうとした時、余ったさくらのフードがあってね、パックご飯とおまえのフード、並べてどう見てもおまえのフードの方が高級なんだよ。どう思っているのか語り合いたいと思うんだけれど、

 だめだろうな。

 ま、明日から頑張るよ。おとうさんんもおかあさんも。

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